トマトの原産地は、南米アンデス山脈の高原地帯です。高温多湿には弱く、かといって霜が降りるほどの厳しい寒さにも耐えられません。昼と夜の寒暖差がある高原の気候が、もともとの居場所でした。

アンデスで生まれたトマトはメキシコで栽培化され、16世紀にヨーロッパへ渡ります。ところが、有毒なナス科の植物(ベラドンナなど)に似ていたため「毒リンゴ」と恐れられ、200年近くものあいだ観賞用の植物でした。食用として本格的に広まったのは、18世紀のイタリアなどからです。

日本へは江戸時代、17世紀半ばに長崎へ伝わりました。当初は「赤茄子(あかなす)」と呼ばれ、ヨーロッパと同じく観賞用。食用としての栽培が始まったのは明治時代ですが、特有の強い青臭さが敬遠され、すぐには定着しませんでした。

いまのように甘くておいしく、食卓に欠かせない野菜として広く親しまれるようになったのは、品種改良が進み、食の洋風化が急速に進んだ第二次世界大戦後のことです。

——アンデスの高原と、富良野。寒暖差のある土地でおいしくなるというのは、この植物がもともと持っていた性質なのかもしれません。

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